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第52巻第1号目次 Japanese/English

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─ 第25回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

放射線治療からみた新しいTNM病期分類(UICC-7)の問題点と課題

中山 優子1, 野中 哲生1, 溝口 信貴1
1神奈川県立がんセンター放射線腫瘍科

目的.放射線治療からみた新しいTNM病期分類(UICC-7)の問題点と課題について検討した.方法.新分類においてT因子が腫瘍径別に細分化された.また,胸膜播種がT4からM1aに,同一肺葉内結節がT4からT3に変更された.N因子では,新しいリンパ節マップが示された.これら新分類の放射線治療からみた問題点について検討した.結果.腫瘍径3 cm以下のT1は,2 cmでT1aとT1bに細分化されたが,小型肺癌は放射線治療の対象となることが少なかったため,今後は定位放射線治療症例の蓄積と解析が必要である.腫瘍径5 cmで区分されるT2aとT2bは,過去の報告でも放射線治療成績に差がみられており妥当である.また,胸膜播種はM1aに変更されており,もともと根治的放射線治療の適応ではないことから簡便になった.一方,同一肺葉内結節がT4からT3に変更されたこと,従来#7と#10に分けられた気管分岐下リンパ節がすべて#7と定義されたことにより,これらの症例の中に根治的放射線治療の適応とならない症例が含まれる可能性が出てきた.結論.UICC-6と比較して,部分的に放射線治療の適応に即した改訂となったが,新たにT3やN2症例に根治的放射線治療の適応外となる症例が存在することに注意が必要である.
索引用語:肺癌, UICC-TNM(7), 放射線治療

肺癌 52 (1):101─104,2012

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