タイトル
第52巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

診断時に胃転移を認めた小細胞肺癌の2例

岡崎 彰仁1,2, 新屋 智之1, 酒井 麻夫2, 曽根 崇2, 笠原 寿郎2, 藤村 政樹2
1国民健康保険小松市民病院呼吸器内科, 2金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科

背景.肺癌の初回診断時に胃転移が確認されることは稀である.症例1.74歳,女性.胸部単純X線で左上葉無気肺を認め,気管支鏡で,左上幹を完全に閉塞する腫瘍性病変からの生検にて,小細胞肺癌と診断した.食欲不振の精査目的の胃内視鏡検査で胃前庭部に中心陥凹を伴う隆起性病変を認め,生検にて免疫染色で肺と同一の小細胞癌を認めたため,胃転移と診断した.カルボプラチン+エトポシド併用療法による全身化学療法を行うも無効で,3か月後に死亡した.症例2.76歳,男性.右下葉原発の小細胞肺癌の治療開始前に心窩部痛があり,胃内視鏡検査で胃体部に中心陥凹を伴う隆起性病変を認め,生検により小細胞肺癌の胃転移と診断した.原疾患の増悪により1か月後に死亡した.結語.食欲不振や心窩部痛のような消化器症状は化学療法の副作用と捉えられがちだが,初回診断時でも,有症状時には上部消化管の評価のため胃内視鏡検査を行うことは有用と考えられた.
索引用語:小細胞肺癌, 胃転移, 内視鏡

受付日:2011年12月1日
受理日:2012年2月10日

肺癌 52 (2):220─225,2012

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