タイトル
第52巻第3号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (542K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

化学放射線療法後,体外循環下にサルベージ手術を施行した局所進行扁平上皮肺癌の1例

塩田 広宣1, 安川 朋久1, 平井 文子1, 千代 雅子1, 由佐 俊和1, 斎藤 幸雄2
1千葉労災病院呼吸器外科, 2千葉医療センター呼吸器外科

背景.非小細胞肺癌に対するサルベージ手術の意義は明らかではない.今回我々は化学放射線療法施行2年半後にサルベージ手術を行った局所進行扁平上皮肺癌の1例を経験したので報告する.症例.58歳,男性.2002年7月咳嗽を主訴に前医を受診し,精査にて左肺扁平上皮癌(左上幹原発,cT2aN3M0,stage IIIB)と診断した.2002年10月より放射線治療(計60 Gy)およびカルボプラチンおよびパクリタキセルによる全身化学療法を6コース施行し,partial response(以下,PR)が得られた.2005年3月,腫瘍は再増大したため,ジェムシタビンとビノレルビンによる2nd lineの全身化学療法を施行中に約400 mlの喀血を来した.胸部造影CTにて左肺動脈に隣接する腫瘍の内部は空洞化していた.致命的な喀血の回避が予後を改善し得ると考え,2006年1月,体外循環下に肺動脈形成を伴う左肺全摘術を施行した.重篤な術後合併症は認めず,術後5年以上が経過し無再発生存中である.結論.本症例では,長期生存が得られ,サルベージ手術の意義を認めたと考えられた.
索引用語:局所進行非小細胞肺癌, サルベージ手術, 化学放射線療法, 人工心肺

受付日:2012年1月31日
受理日:2012年4月27日

肺癌 52 (3):300─304,2012

ページの先頭へ