タイトル
第52巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

type A胸腺腫摘出後にGood症候群をきたした1例

小田 桂士1,2, 今永 知俊2, 丸山 理一郎3, 加藤 香織2, 矢寺 和博1, 迎 寛1
1産業医科大学医学部呼吸器内科学, 製鉄記念八幡病院 2呼吸器科, 3呼吸器外科

背景.Good症候群は胸腺腫と低γグロブリン血症などによる免疫不全により易感染性を呈するため,感染症の予防およびその制御が重要である.症例.75歳,男性.2006年6月に胸部X線写真で縦隔の異常陰影を指摘され,computed tomography(CT)検査およびmagnetic resonance imaging(MRI)検査より胸腺腫が疑われて胸腺摘出術が施行された.病理診断はWorld Health Organization(WHO)分類でtype A胸腺腫であった.術後4年が経過した頃から,湿性咳嗽および喀痰を自覚するようになった.近医で抗菌薬治療を複数回受けたが,次第に症状および胸部X線写真所見が悪化したため,当科に紹介となった.来院時の単純CT検査では,びまん性に小葉中心性粒状影と両側の上顎洞炎の所見を認め,副鼻腔気管支症候群と診断した.また,低γグロブリン血症を認め,HLA-B54は陰性,末梢血Bリンパ球表面マーカーが低値であることからGood症候群による副鼻腔気管支症候群と考えられた.クラリスロマイシン(CAM)の長期投与により,臨床症状および画像所見は改善し,その後も増悪を認めていない.結論.胸腺摘出後にGood症候群を発症し,長期マクロライド療法にて改善した.内科医および外科医は胸腺腫術後にGood症候群が発症することを念頭に置き,早期に液性免疫の評価や上下気道の画像評価を行い,診断することが重要と考えられた.
索引用語:Good症候群, 胸腺腫, 低γグロブリン血症, マクロライド系抗菌薬

受付日:2012年3月8日
受理日:2012年5月8日

肺癌 52 (3):305─309,2012

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