タイトル
第52巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

von Recklinghausen病に過誤腫,肺癌が合併した1切除例

鈴木 基弘1, 石橋 洋則1, 高崎 千尋1, 藤原 直之1, 明石 巧2, 大久保 憲一1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科呼吸器外科学分野, 2東京医科歯科大学医学部附属病院病理部

背景.von Recklinghausen病は悪性腫瘍をしばしば合併するが,過誤腫を合併することは稀である.症例.66歳,von Recklinghausen病の男性.検診で右上肺野に胸部異常陰影を指摘された.胸部CT検査では右上葉に69×41 mmの腫瘍,右S6に20 mmの結節を認めた.経気管支生検により非小細胞肺癌の病理像を認め,原発性肺癌cT3N0M0と診断した.右上葉と胸壁合併切除およびS6部分切除を施行した.病理診断の結果S6腫瘍は肺過誤腫であった.今までにvon Recklinghausen病に原発性肺癌と肺過誤腫を合併した報告はない.von Recklinghausen病は悪性腫瘍発症の危険因子であるが,原発性肺癌を合併した報告は稀である.一方で,von Recklinghausen病では気腫性嚢胞を合併することは多いが,気腫性嚢胞や肺過誤腫は原発性肺癌の発症に関与すると言われている.したがって,本症例はvon Recklinghausen病における悪性腫瘍発症機構を考える上で興味深い.結論.von Recklinghausen病に原発性肺癌と肺過誤腫を合併した稀な症例を経験したので報告した.
索引用語:肺過誤腫, 肺癌, von Recklinghausen病

受付日:2011年12月28日
受理日:2012年5月28日

肺癌 52 (3):320─325,2012

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