第52巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
骨形成を伴う原発性肺癌の1切除例
日野 佑美1, 梶 政洋1, 宮原 尚文1, 小林 零1, 末舛 恵一11東京都済生会中央病院呼吸器外科
背景.一般的に石灰化を伴った肺腫瘍の場合良性腫瘍であることが多いが,まれに肺癌でも石灰化を伴うことがある.しかし骨形成を伴う原発性肺癌は非常にまれである.症例.60歳男性.検診の胸部CTで右S2に16×10 mm大の内部に石灰化を伴った不整型の腫瘤影を認めた.PET-CTでは病変に集積はなく,2ヶ月後に再検したところ軽度の増大傾向を認めたため,悪性腫瘍の可能性も否定できないことから手術を施行した.術中生検で原発性肺癌の診断となり,右肺上葉切除・リンパ節郭清術を施行した.組織学的所見では内部に骨化を伴った原発性肺腺癌であった.結論.非常にまれな骨形成を伴った原発性肺癌症例を経験した.少しでも増大傾向を示した際には,たとえ石灰化を伴う病変でも,肺癌である可能性も念頭に置き診断を行う必要がある.
索引用語:原発性肺癌, 腺癌, 骨化
受付日:2012年1月11日
受理日:2012年6月12日
肺癌 52 (4):393─396,2012