タイトル
第52巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第25回肺がん集検セミナー ─

National Lung Screening Trialの概要と評価

祖父江 友孝1
1国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部

目的.2010年11月にアメリカのNational Lung Screening Trial(NLST)が有効中止となった.本報告では,NLSTの結果を概説するとともに,我が国における今後の対応について考察する.方法.NLSTに関する論文や学会発表に基づき,NLST関連の結果を整理して報告・考察する.結果.NLSTでは,喫煙者5万人が2群にランダム割り付けされ,CT群には低線量CT検査が,X線群には年1回の単純X線検査が3回提供された.X線群に比べた場合のCT群における肺がん死亡リスク比は0.80(95%信頼区間:0.73~0.93),全死因死亡リスク比は0.93(95%信頼区間:0.86~0.99)と有意に減少した.今後,喫煙者を対象とする低線量CTの有効性については,欧米のRCTを中心に議論が進められると考えられるが,非喫煙者については,欧米にはデータが存在しない.結論.非喫煙者の肺がんは,アジア諸国で解決すべき問題であり,我が国からデータを発するチャンスでもある.現在,第3次対がん佐川班で,小規模なRCTが進行中であるが,規模を拡大して短期間で結果を提示できる体制づくりが望まれる.
索引用語:肺がん検診, 低線量CT, 死亡率減少, ランダム化比較試験

肺癌 52 (6):943─947,2012

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