タイトル
第52巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

孤発性結腸転移を来した肺癌肉腫の1例

小林 宣隆1, 沼波 宏樹1, 山地 雅之1, 田中 元也1, 高橋 恵美子2, 羽生田 正行1
愛知医科大学 1呼吸器外科, 2病院病理部

背景.肺癌肉腫は上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍から構成される悪性腫瘍であり,稀で予後不良な疾患である.加えて,肺癌肉腫の結腸転移は極めて稀である.症例.59歳男性.血痰を主訴に近医を受診し,胸部単純X線写真で異常陰影を指摘され,当院に紹介された.胸部CTで左下葉に70 mmの腫瘤を認めた.頭部MRI,上部および下部消化管内視鏡検査で転移を認めなかった.気管支鏡下擦過細胞診で原発性肺癌(扁平上皮癌)と診断した.左下葉切除術およびリンパ節郭清術を施行した.腫瘍は骨肉腫や紡錘形腫瘍細胞を主とする肉腫成分(70%)と腺癌成分(30%)から構成され,肺癌肉腫(pT2bN0M0,stage IIA)と診断した.肺切除術の15カ月後,横行結腸に亜有茎性腫瘍を指摘され,内視鏡的粘膜切除術が施行された.結腸腫瘍は紡錘形腫瘍細胞のみから成り,癌成分を認めなかったものの,肺癌肉腫の結腸転移と診断した.顕微鏡的に切除断端が陽性であったため,腹腔鏡下横行結腸切除術を追加した.患者は結腸切除術から39カ月間無再発生存中である.結論.肺切除術後に発生した孤発性結腸転移に対し外科的切除した症例を経験した.自験例は,検索し得た限り,孤発性結腸転移を来した肺癌肉腫の最初の報告である.
索引用語:肺癌肉腫, 肉腫様癌, 孤発性転移, 結腸転移, 亜有茎性腫瘍

受付日:2012年7月30日
受理日:2012年10月10日

肺癌 52 (7):1017─1022,2012

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