タイトル
第52巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

慢性血栓塞栓性肺高血圧症合併肺腺癌に対する左上葉切除術を施行した1例

美馬 雄一郎1, 宮本 京介2, 鎌田 浩史2, 谷山 大輔2, 梶 政洋3, 坂巻 文雄2
東京都済生会中央病院 1内科, 2呼吸器内科, 3呼吸器外科

背景.肺高血圧患者に対する手術は周術期合併症のリスク因子として知られるが,肺癌における肺葉切除術におけるリスクの検討は十分ではない.症例.68歳男性.左上葉の肺腺癌と同時に慢性血栓塞栓性肺高血圧症を診断された.抗凝固療法の開始後,CTにて左肺動脈内血栓の減少,心エコーなどにて肺高血圧の改善を認めたため胸腔鏡下左上葉切除術を施行したが,全身麻酔導入後より右心カテーテル上平均肺動脈圧40 mmHg以上の,術前検査と比べ重度の肺高血圧を認めた.術後も肺高血圧が持続し,抗凝固療法およびシルデナフィル,ボセンタンの併用療法を行った.術後約30日の経過で運動耐容能の改善を認め,在宅酸素療法下に退院可能となった.結論.肺葉切除後の肺高血圧増悪に対してシルデナフィル,ボセンタン併用が有効であった.今後はさらに大規模な検討が期待される.
索引用語:慢性血栓塞栓性肺高血圧症, 肺癌, 肺葉切除, シルデナフィル, ボセンタン

受付日:2012年3月29日
受理日:2012年10月16日

肺癌 52 (7):1023─1029,2012

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