タイトル
第52巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ゾレドロン酸からデノスマブへの変更にて骨転移を制御し得た肺扁平上皮癌の1例

森川 慶1,2, 峯下 昌道1, 西根 広樹1, 古屋 直樹1, 大林 樹真1, 宮澤 輝臣1
1聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科, 2自衛隊中央病院呼吸器内科

背景.肺癌における骨転移の頻度は高く,経過中に約4割の骨転移が認められる.骨転移そのものに対する治療として緩和的放射線照射やビスホスホネート製剤の投与があるが,病勢制御が困難であることも少なくない.症例.69歳男性.背部痛を主訴に整形外科を受診し胸部X線写真にて異常陰影を指摘され,精査目的で当科を紹介受診した.胸部CTにて左下葉に55 mm大の壊死を伴う腫瘤影,脊椎MRIにて第8胸椎の圧迫骨折を認めた.気管支鏡検査を施行し左S8/9原発肺扁平上皮癌,cT2bN3M1b(骨転移),stage IVと診断した.気管支鏡検査後に肺炎を合併したため,殺細胞性全身化学療法に先行し骨転移に対する緩和的放射線照射とゾレドロン酸投与を開始した.一次治療としてcarboplatinとpaclitaxelの投与を開始し原発巣は制御し得たが,骨病変の増悪でPS 4となり抗癌剤治療は2コースで中断した.骨転移治療としてゾレドロン酸からデノスマブへ変更したところ,投与開始1週後から背部痛が改善し,2週後には再び歩行可能となった.デノスマブ投与前後で,骨代謝マーカーや画像の改善も認めた.PS改善に伴い二次治療を開始し,デノスマブを継続投与中である.結論.ゾレドロン酸投与で骨病変の制御が困難な場合,デノスマブへの変更が有効であることがある.
索引用語:骨転移, デノスマブ, ゾレドロン酸, 非小細胞肺癌

受付日:2012年9月3日
受理日:2012年10月17日

肺癌 52 (7):1035─1040,2012

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