タイトル
第53巻第1号目次 Japanese/English

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─ 症例 ─

原発不明肺門縦隔リンパ節癌の1例

福島 清春1,2, 渋谷 仁1, 清水 泉1, 亀田 陽一3,4
1神奈川県立足柄上病院総合診療科, 2大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学, 3神奈川県立足柄上病院病理診断科, 4神奈川県立がんセンター病理診断科

背景.原発不明肺門縦隔リンパ節癌を稀に経験するが,詳細は未だ不明な点が多い.肺癌に準じBevacizumab,Pemetrexedも併用した化学療法を行い良好な治療経過を得た,縦隔リンパ節癌の1例を報告する.症例.40歳男性.健診で胸部異常影を指摘され,胸部CTにて縦隔を主体とした多発性のリンパ節腫大を認めた.右鎖骨上リンパ節の生検では低分化腺癌であった.免疫染色ではnapsin A陽性,TTF-1陰性,CK 7陽性,CK 20陰性であった.全身検索するも明らかな原発巣は認められなかったが,免疫染色の結果より肺原発が強く示唆された.Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumabを3コース施行後PRとなりBevacizumabによる維持療法を行った.その後微少な脳転移が出現,ガンマナイフを施行し,Cisplatin+Pemetrexedに変更して5コース行った.治療開始後16ヶ月経過した現在も腫瘤は縮小を維持しており,原発癌の顕在化も認めていない.考察.原発不明肺門縦隔リンパ節癌の本邦報告例102例の検討を行った.男性・喫煙者・右側に圧倒的に多く発生し,予後は非常に良好であり,12例が免疫組織学的に肺癌と診断され,10例に原発巣と考えられる肺病変の出現を認めた.原発不明肺門縦隔リンパ節癌の多くはT0肺癌と捉えるのが妥当であると考えられる.
索引用語:縦隔リンパ節癌, 肺門リンパ節癌, 原発不明癌, 縦隔リンパ節転移, T0肺癌

受付日:2012年10月9日
受理日:2013年1月31日

肺癌 53 (1):35─41,2013

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