タイトル
第53巻第1号目次 Japanese/English

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─ 症例 ─

Gefitinib投与前より活性型EGFR遺伝子変異とEGFR-TKI耐性遺伝子変異(T790M)を認めた非小細胞肺癌の3例

樋浦 徹1, 林 芳樹1, 阿部 徹哉1, 田中 洋史1, 吉谷 克雄2, 横山 晶1
新潟県立がんセンター新潟病院 1内科, 2呼吸器外科

背景.Gefitinib投与前に活性型EGFR遺伝子とEGFR-TKI耐性遺伝子変異(T790M)を同時に認める症例は稀である.当院では,2008年からの3年間で非小細胞肺癌503例中146例に活性型EGFR遺伝子変異を認め,そのうち3例にT790Mを同時に認めた.症例.症例1.70歳,男性.腺癌,cT2aN2M1b(OSS・BRA)stage IV,L858RとT790Mを検出.二次治療としてGefitinibを投与されるも原発巣の増大を認め中止.症例2.81歳,男性.腺癌で右下葉切除術(pT1N0M0).その後,多発肺転移で再発.L858RとG719S,T790Mを検出.Gefitinibによる治療でPR判定.症例3.80歳,男性.腺癌,cT2bN3M0,stage IIIB,エクソン19欠失変異とT790Mを検出.根治的胸部放射線治療後,原発巣の再増大と肺転移を認め,Gefitinibによる治療でPR判定.結論.治療前にT790Mと活性型遺伝子変異が同時に発現している症例は少数ながら存在し,発現機序は明らかではないが,一部にEGFR-TKIの効果がみられる症例もある.
索引用語:肺癌, 上皮成長因子受容体, Gefitinib, EGFR遺伝子変異, T790M

受付日:2012年10月25日
受理日:2013年2月18日

肺癌 53 (1):52─58,2013

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