タイトル
第53巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

エルロチニブ耐性獲得後にサルベージ手術を行ったIV期肺腺癌の1例

磯部 和順1, 秦 美暢2, 鏑木 教平1, 杉野 圭史1, 密田 亜希3, 本間 栄1
東邦大学医療センター大森病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3病理部

背景.上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺癌において,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)投与1年以内に耐性獲得することが知られている.症例.症例は70歳女性.2006年10月,胸部異常陰影を指摘され当科紹介受診.全身精査にて右下葉原発肺腺癌(T1aN0M1b BRA,Stage IV)およびEGFR遺伝子変異陽性(L858R)と診断された.2009年3月から4th lineでエルロチニブを投与した.その後,原発巣と脳転移巣は病勢制御されていたが,血清CEAの上昇と原発巣の再増大を認め,2011年8月にサルベージ目的で右下葉切除を行った.手術検体からT790Mを検出した.現在,術後15ヶ月担癌生存中である.結論.EGFR-TKI耐性獲得後にサルベージ手術が適応となる患者には,治療方法の選択肢の1つに考慮されるべきである.
索引用語:非小細胞肺癌, 上皮成長因子受容体遺伝子変異, EGFR-TKI, 耐性遺伝子T790M変異, サルベージ手術

受付日:2012年12月4日
受理日:2013年4月9日

肺癌 53 (2):138─143,2013

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