タイトル
第53巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

原発性肺癌における術前気管支鏡下擦過細胞診の組織型正診率

柳川 直樹1, 塩野 知志2, 安孫子 正美2, 阿部 光展1, 渡邉 清子1, 渡邊 いづみ1, 植松 美由紀1, 緒形 真也1, 佐藤 徹2, 田村 元1
山形県立中央病院 1中央検査部病理, 2呼吸器外科

目的.原発性肺癌における気管支鏡下擦過細胞診の組織型正診率を明らかにする.対象と方法.気管支鏡下擦過細胞診で原発性肺癌と診断され,その後摘出標本の最終病理組織診断がなされた189例について,細胞診の推定組織型の正診率を検討した.結果.最終診断が腺癌であった105例中90例は細胞診でも腺癌と診断されていたが,7例は扁平上皮癌,8例は非小細胞肺癌と診断されていた.最終診断が扁平上皮癌であった74例中72例は細胞診でも扁平上皮癌と診断されていたが,1例は腺癌,1例は非小細胞肺癌と診断されていた.最終診断が大細胞癌であった3例中2例は細胞診でも大細胞癌と診断されていたが,1例は腺癌と診断されていた.最終診断が小細胞肺癌であった3例はいずれも細胞診にて小細胞肺癌と診断されていた.12例が不一致であり,非小細胞肺癌と診断されていた10例も不一致とすると,完全一致率は88.4%(167/189)であった.不一致例または術前非小細胞肺癌例では,その多くで粘液産生充実型腺癌成分が含まれていた.結論.細胞診で充実性集塊が観察された時は,組織型の推定は慎重にすべきだと考えられた.
索引用語:肺癌, 粘液産生充実型腺癌, 気管支鏡下細胞診, 病理組織診, 正診率

受付日:2013年4月22日
受理日:2013年7月3日

肺癌 53 (3):220─226,2013

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