タイトル
第53巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ゲフィチニブ投与後にアルカリフォスファターゼフレア現象を呈した原発性肺腺癌の2例

亀田 優美1, 黒沼 幸治1, 宮島 さつき1, 千葉 弘文1, 山田 玄1, 高橋 弘毅1
1札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座

背景.骨転移を有する癌の治療中に血清アルカリフォスファターゼ(ALP)の一過性上昇を認めることがあり,ALPフレア現象と呼ばれる.今回,ゲフィチニブが奏効した骨転移合併肺癌2例において,同現象を認めたので報告する.症例.症例1は64歳女性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療10日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.症例2は46歳男性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療18日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.2例ともALP分画は2・3が1つのピークを形成し,約90%を占めていたが,他の肝胆道系酵素は上昇せず,骨由来と考えた.2例とも,治療1か月後の骨シンチグラフィーで骨転移巣への集積が増強し,骨転移の増悪が疑われた.しかし,CTで他病変は縮小し,腫瘍マーカーも低下していたことから,フレア現象と考えて治療を継続した.以後,骨転移巣への集積は軽減,ALPも低下して治療は奏効した.結論.骨転移合併肺癌において,ゲフィチニブ投与中にALPの上昇を認めた場合は,骨転移の増悪,ゲフィチニブの有害事象に加えて,フレア現象を想定し,臨床所見と諸検査所見から総合的に鑑別する必要がある.
索引用語:血清アルカリフォスファターゼ, フレア現象, 骨転移, 原発性肺癌, ゲフィチニブ

受付日:2013年2月15日
受理日:2013年7月16日

肺癌 53 (4):329─335,2013

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