タイトル
第53巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ベバシズマブ併用化学療法中に膿気胸となった肺腺癌の1症例

河野 朋哉1, 宮田 亮1, 高木 順平2, 花谷 崇2, 田久保 康隆1, 野口 哲男2
市立長浜病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

背景.ベバシズマブ併用化学療法は,肺癌領域でも急速に広まっている.症例.63歳男性.咳嗽,体重減少を主訴に近医を受診したところ,胸部CTにて右肺下葉に直径50 mmの腫瘤影を認めた.気管支鏡検査にて腺癌と診断された.全身精査で肝臓,骨盤骨への転移を認め,cT2bN3M1b stage IVと診断された.カルボプラチン,パクリタキセル,ベバシズマブによる化学療法を開始したところ,day 15に右膿気胸を発症した.胸腔ドレナージを行うが,改善せず.胸部CTにて腫瘍の破裂による難治性の膿気胸と診断されたため,救済目的に開胸による右下葉切除を行った.その後気管支断端瘻を併発し,大網充填術を必要とした.化学療法を続けたが,発見から1年後に癌性髄膜炎となり死亡した.結論.ベバシズマブ併用化学療法は,腫瘍を広範囲に壊死させ,気胸・膿胸の原因となる可能性がある.難治性の気胸・膿胸は胸部CTによる診断を行い,必要であれば,早期の外科的処置にうつるべきである.
索引用語:肺癌, 化学療法, 膿気胸, ベバシズマブ, 救済手術

受付日:2012年10月18日
受理日:2013年7月22日

肺癌 53 (4):336─340,2013

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