タイトル
第53巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

片側性多発脳神経障害(Garcin症候群)を契機に発見され,化学療法により神経症状の改善を得た小細胞肺癌の1例

森山 雄介1, 渡邉 恵介1, 新海 正晴1, 後藤 秀人2, 石ヶ坪 良明3, 金子 猛1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター, 2国立病院機構横浜医療センター呼吸器内科, 3横浜市立大学大学院病態免疫制御内科学

背景.Garcin症候群とは,主に頭蓋底部の腫瘍性疾患などにより,一側性多発性に脳神経が侵され,四肢麻痺及び頭蓋内圧亢進症状を認めないものとされている.Garcin症候群による症状を契機に発見された肺癌症例は2例のみ報告されているが,いずれも神経症状の改善は得られていない.症例.61歳の女性.嗄声,嚥下障害を主訴に当院を紹介受診した.左側IX~XIIの脳神経障害を認め,頭部CTにて左側後頭蓋窩に単発の腫瘤を認めた.また,胸部CTで右肺S2内側に腫瘤及び縦隔リンパ節腫大を認めた.頭蓋骨の腫瘍生検を施行し,肺小細胞癌,頭蓋骨転移及び片側性多発脳神経障害(Garcin症候群)の併発と診断した.カルボプラチン(carboplatin)+エトポシド(etoposide)にて化学療法を開始したところ,神経症状の改善及び腫瘍の縮小を得た.結論.片側性多発脳神経障害を認めた際,頭蓋底部の腫瘍性疾患を念頭に置く必要があると考えられた.また,肺癌の頭蓋底転移による腫瘍の縮小が認められると神経症状が改善する可能性が示唆された.
索引用語:肺癌, Garcin症候群, 頭蓋骨転移

受付日:2013年3月11日
受理日:2013年8月13日

肺癌 53 (6):755─759,2013

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