タイトル
第53巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

完全内臓逆位症に発生した肺扁平上皮癌の1手術例

中川 正嗣1, 寺町 政美1
1大阪府済生会野江病院呼吸器外科

背景.完全内臓逆位症は,10,000人あたり1~2人にみられる常染色体劣性遺伝の奇形であり,原発性肺癌合併の報告例は少ない.症例.76歳,完全内臓逆位症の男性.近医で胸部異常陰影を指摘され,紹介されてきた.右肺S9に2.5 cm大の腫瘤陰影を認めたが,確定診断が得られず,胸腔鏡下生検を行うことにした.3D-CT angiographyを行って,肺動脈分岐様式を確認した上で手術を行った.気管支ブロッカーによる分離肺換気下に,穿刺吸引細胞診で非小細胞肺癌と診断し,胸腔鏡下右下葉切除・リンパ節郭清術を施行した.最終の病理診断は低分化扁平上皮癌,pT1bN0M0 Stage IAであった.結論.完全内臓逆位症に対する肺切除術において,肺動脈の分岐形態の把握には3D-CT angiographyが,また分離肺換気には気管支ブロッカーが有用である.
索引用語:完全内臓逆位症, 肺癌, 3D-CT angiography

受付日:2013年8月8日
受理日:2013年10月7日

肺癌 53 (6):799─802,2013

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