タイトル
第53巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Mucinous adenocarcinoma in situとの鑑別に追加検討を要したciliated muconodular papillary tumorの1手術例

幸 大輔1, 川野 理1, 深井 一郎1, 内山 智子2, 馬場 洋一郎2, 村田 哲也2
鈴鹿中央総合病院 1呼吸器外科, 2病理診断科

背景.臨床上は良性腫瘍として扱うべきciliated muconodular papillary tumor(CMPT)は,線毛構造を有し,基底膜構造が保持されている点では良性腫瘍の特徴を持つが,肺胞置換性に増殖する点ではadenocarcinoma in situ(AIS)と特徴を共有するため,良悪性の鑑別に難渋する.症例.70歳女性.尿管癌術後のサーベイランスCTにて指摘された右肺下葉の腫瘍を,胸腔鏡下に部分切除した.肺胞上皮を置換する腫瘍性増殖の所見から,mucinous AISを思わせたが,追加検討によりCMPTと診断された.結論.基底細胞および線毛上皮細胞が保持され,核異型も目立たない点からCMPTの診断に至った.CMPTが末梢発生であれば適正な術式,すなわち肺部分切除術が行われ,mucinous AISとの鑑別は純粋に病理学上の問題で,臨床上は問題とならない.しかし,中枢発生した場合はover surgeryを回避しにくい問題を残すが,これはmucinous AISでも同様と考えられる.
索引用語:線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍(ciliated muconodular papillary tumor), 粘液産生性上皮内腺癌(mucinous adenocarcinoma in situ), 細気管支肺胞上皮癌

受付日:2013年7月10日
受理日:2013年10月21日

肺癌 53 (7):831─835,2013

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