タイトル
第53巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

超音波内視鏡下穿刺吸引にて診断された肺癌術後膵転移の1症例

張 吉天1, 吉村 誉史1, 寺田 泰二1, 松原 義人1, 安原 裕美子2
京都桂病院 1呼吸器センター呼吸器外科, 2病理診断科

背景.肺癌に膵腫瘍を併発した場合,肺癌の膵転移と原発性膵腫瘍との画像的鑑別は困難であるが,治療方針や予後が大きく異なる.症例.63歳,女性.2007年6月に肺腺癌で左下葉切除術を施行後,外来にて経過観察されていた.2012年1月に腹痛で消化器内科を受診し,肝胆道系酵素の上昇と,腹部エコーで胆管の拡張を伴い,膵頭部に約2 cmの腫瘍を認め,造影CTでは肝転移と腹部多発リンパ節転移を認めたため,膵癌が疑われた.中下部胆管にブラシ細胞診で悪性所見を認めなかった.超音波内視鏡下穿刺吸引(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;EUS-FNA)を行い,病理組織診にて肺癌の再発膵転移と診断された.肺腺癌に対して化学療法を施行し,部分奏効(partial response;PR)相当の縮小及び1年間の病勢制御が得られた.結論.肺癌症例に膵腫瘍が認められた場合は,積極的にEUS-FNAで生検を行い,病理組織診を行うべきである.
索引用語:肺癌, 膵転移, 超音波内視鏡下穿刺吸引

受付日:2013年6月4日
受理日:2013年11月5日

肺癌 53 (7):836─839,2013

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