タイトル
第53巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

歯肉転移で発見された粘液産生充実型肺腺癌の1剖検例

上野 学1, 前野 敏孝1, 竹村 仁男1,2, 折居 美波1, 須賀 達夫1,3, 倉林 正彦1
1群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科, 2公立藤岡総合病院呼吸器内科, 3プラーナクリニック

背景.肺癌の歯肉転移は非常に稀である.われわれは肺腺癌の歯肉転移症例を経験したので,文献的考察とともに報告する.症例.43歳の男性.2012年3月に齲歯のため右奥歯を抜歯したが,その後歯肉腫脹が持続し,紹介となった.歯肉生検より未分化癌と診断された.全身検査を行ったところ,右肺に腫瘤性病変を認めた.CTガイド下生検で腺癌と診断されたが,肺癌の歯肉転移か歯肉癌の肺転移か鑑別困難であった.原発性肺癌として右上顎に放射線治療を行い,全身化学療法を行ったが効果に乏しく,11月に呼吸不全のため永眠した.剖検では低分化型粘液産生充実型腺癌であり,歯肉の病変は肺腺癌の転移と診断された.結論.歯肉転移では摂食障害・呼吸障害が生じ,QOLが低下する.早期の診断,初期からの積極的な治療と十分な緩和ケアが必要である.
索引用語:肺癌, 粘液産生充実型腺癌, 歯肉転移, Oncologic emergency

受付日:2013年8月27日
受理日:2013年11月18日

肺癌 53 (7):876─881,2013

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