タイトル
第54巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

B3 thymoma with anaplasiaの1例

豊田 行英1, 藤原 大樹1, 石橋 史博1, 飯田 智彦1, 廣島 健三2, 柴 光年1
1国保直営総合病院君津中央病院呼吸器外科, 2東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科

背景.B3胸腺腫には稀に退形成(anaplasia)を認めることがあり,胸腺腫の特徴を保持しながら腫瘍の一部が異型性の強い上皮へ変化することが報告されている.症例.68歳男性.重症筋無力症合併胸腺腫に対し,ステロイド導入後に拡大胸腺摘除術を施行した.組織学的に腫瘍は大型の核を有する上皮細胞とリンパ球様細胞からなり,B3胸腺腫の所見であった.同時に胞巣の一部で,上皮細胞の核が大型になり扁平上皮への分化がみられた.免疫染色ではCD5とGlut-1が陰性で,Ki-67標識率は低値であり,胸腺腫の一部が異型性の強い扁平上皮に退形成したものと考えた.以上よりB3 thymoma with anaplasiaと診断した.結論.B3胸腺腫の一部に異型性の強い扁平上皮への分化を示す症例を報告した.World Health Organization分類2004年版ではこのような症例をB3 thymoma with anaplasiaと診断することを提起しており,本症例も同一のグループに属するものと考えられた.
索引用語:B3 thymoma with anaplasia, 重症筋無力症

受付日:2013年8月23日
受理日:2014年1月14日

肺癌 54 (1):17─21,2014

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