タイトル
第54巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

高齢者肺芽腫の1例

岡林 孝弘1, 渋谷 祐一1, 岡本 卓1, 中野 貴之1, 松森 保道2
1高知県・高知市病院企業団立高知医療センター呼吸器外科, 2土佐市立土佐市民病院外科

背景.肺芽腫は肺癌の中では比較的稀な肉腫様癌に分類される.症例.87歳,男性.2008年4月,胸痛を主訴に近医を受診し,胸部X線で右肺腫瘤陰影を指摘された.経気管支的肺生検(TBLB)により過誤腫が疑われ,経過観察された.3ヶ月で腫瘤は急速に増大し,当院へ紹介された.CTでは右肺上葉に5.2 cm大の境界明瞭でほぼ球形な腫瘤陰影を示し,肺門縦隔リンパ節腫大はなかった.FDG-PET/CTではFDGの中等度集積を認めた.術前確定診断は得られていなかったが,肺癌を疑い,胸腔鏡補助下手術を施行した.術中迅速病理検査および細胞診では腺癌の疑いであった.右肺上葉切除および上縦隔リンパ節郭清を施行した.術後病理組織検査にて,管状・乳頭状構造を示す上皮性成分と未熟な紡錘形細胞を主体とする間葉系成分よりなり,肺芽腫と確定された.固定後の腫瘍径は4.8 cm,pl0,pN0,Stage IBであった.術後経過は良好で術後12日目に軽快退院された.高齢のため補助化学療法は行っていない.結論.画像の経過で急速な増大が確認された肺芽腫手術例を報告した.これまでの報告例で最も高齢であった.
索引用語:肺芽腫, 高齢者肺癌, 肉腫様肺癌

受付日:2013年11月13日
受理日:2014年1月20日

肺癌 54 (1):28─32,2014

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