タイトル
第54巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ワンタキソテール®の投与によりsupravenous serpentine dermatitisを生じた1例

宮本 牧1, 保坂 麻里2, 藤田 明1, 田嶋 梓2, 高橋 信2
公益財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センター 1呼吸器内科, 2薬剤科

背景.抗癌剤注入に伴う表在静脈網に沿った色素沈着は,ドセタキセルによって起きることがある.症例.80歳男性.非小細胞肺癌の診断で,7次治療としてドセタキセル(ワンタキソテール®)単剤60 mg/bodyを開始した.3コース目に静脈に沿う皮疹および色素沈着を認めた.3コース目の点滴は60 mgのドセタキセルを250 mlの5%ブドウ糖液で溶解し,1時間かけて左前腕から行われた.点滴前々日に同じ左前腕から,頭部造影MRI撮影のためのガドテル酸メグルミンを同部位から注射していた.4コース目は反対側の前腕から点滴を行ったがやはり静脈に沿う皮膚変化が出現した.5コース目にドセタキセルを2倍希釈して右足から点滴したところ障害を認めなかった.結論.ドセタキセル(ワンタキソテール®)使用時には,先行投与薬剤に注意が必要であり,薬物濃度調整が皮膚反応の出現に影響する可能性がある.
索引用語:肺癌, ワンタキソテール®, ドセタキセル, 静脈炎, Supravenous serpentine dermatitis

受付日:2013年8月19日
受理日:2014年1月22日

肺癌 54 (1):33─36,2014

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