タイトル
第54巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

緩徐に増大傾向を示した胸膜孤立性線維性腫瘍の1例

中川 誠1, 花桐 武志1, 渡橋 剛2, 吉井 千春2, 迎 寛3, 田中 文啓1
1産業医科大学第2外科, 2産業医科大学若松病院呼吸器内科, 3産業医科大学呼吸器内科

背景.胸膜孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor of the pleura:以下SFTP)は間葉系細胞由来の稀な疾患で,緩徐に増大傾向を示した症例を経験したので報告する.症例.68歳女性.健康診断での胸部単純X線写真で右中肺野に結節を指摘され,胸部CTで限局性胸膜結節を認めた.胸膜由来の良性腫瘍として経過観察されていたが,経過観察中の2年間で緩徐に増大傾向を認め,悪性腫瘍が否定できないため,当科紹介となった.診断および治療目的で胸腔鏡下手術を施行した.腫瘍は臓側胸膜より有茎性に発生しており,下葉の一部とともに腫瘍を切除した.病理組織所見では臓側胸膜に楕円形の核を持つ均一な紡錘形腫瘍細胞の増生を認め,免疫染色ではCD34(+),bcl-2(+)であり,SFTPと診断した.結論.SFTPの多くは良性の経過をたどるが再発転移の報告もあり,診断的治療を兼ね,積極的に胸腔鏡下手術を検討すべきであると考えられる.
索引用語:孤立性線維性腫瘍, 胸膜腫瘍, 胸腔鏡下手術, 腫瘍倍加時間

受付日:2013年10月28日
受理日:2014年2月20日

肺癌 54 (2):63─67,2014

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