タイトル
第54巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

クリゾチニブによる薬剤性食道炎を来したEML4/ALK融合遺伝子陽性肺腺癌の1例

平井 理子1, 佐々木 高明1, 山本 泰司1, 大崎 能伸1
1旭川医科大学病院呼吸器センター

背景.2012年3月の承認以後,クリゾチニブがALK陽性肺癌に対し使用可能となったが,稀な副作用については不明な点も多い.症例.43歳女性.EML4/ALK融合遺伝子陽性肺腺癌(cT4N3M1b:Stage IV)で二次治療としてクリゾチニブ250 mgを1日2回(昼食後・就寝前)で開始した.初回投与後数時間で悪心・嘔吐が出現し,投与2日目よりGrade 3の食道痛が出現,経口摂取が著しく低下した.投与4日目で内服不能となり休薬したところ,速やかに症状は消失した.200 mgを1日2回(昼食後・就寝前)で減量して再開したところ,再度嚥下痛を認め内服不能となり投与7日目より休薬した.休薬中施行したFDG-PETで中下部食道に全周性のFDG集積を認め,上部消化管内視鏡検査にて炎症性変化を確認した.クリゾチニブの休薬・再投与に伴う症状変化に再現性を認め,薬剤性食道炎と診断した.症状消失後から200 mgを1日1回(朝食後)で再開した.忍容性を確認しながら現在7カ月間継続中であり,病変はSDを維持している.結論.クリゾチニブによる副作用としての食道炎の報告は稀であるが,本例では両者に強い因果関係が示唆された.
索引用語:クリゾチニブ, 薬剤性食道炎, EML4/ALK融合遺伝子, 肺腺癌

受付日:2013年12月13日
受理日:2014年2月20日

肺癌 54 (2):68─72,2014

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