タイトル
第54巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

気管支内腔に進展した術後再発浸潤性胸腺腫の2例

米田 太郎1, 卯尾 真由加1, 木場 隼人1, 酒井 珠美1, 上田 善道2, 笠原 寿郎1
1金沢大学附属病院呼吸器内科, 2金沢医科大学病理病態学

背景.胸腺腫の気管支内腔への進展は稀とされる.症例1.85歳女性.2002年に浸潤型胸腺腫にて拡大胸腺摘出,右上葉切除を施行された.2013年咳,喘鳴が出現し,胸部X線にて右肺野異常陰影を認め,胸部CTでは右主気管支を閉塞する腫瘍を認めた.気管支鏡検査での生検にて再発浸潤性胸腺腫と診断した.化学療法を行い,胸部CTでは気管支内の腫瘍は縮小した.症例2.69歳,男性.1995年に浸潤性胸腺腫に対し,拡大胸腺摘出,左上葉部分切除を施行された.2003年左横隔膜角と第2胸椎椎体左側に腫瘤形成を認め,胸膜播種を伴う再発にて再度腫瘍切除術を施行した.2013年に労作時呼吸困難を契機に入院加療となり,その際胸部CTにて浸潤性胸腺腫の増悪ならびに左主気管支の閉塞を認めた.気管支鏡検査での生検にて再発浸潤性胸腺腫と診断した.化学療法を行い,胸部CTでは気管支内の腫瘍は縮小した.結論.気管支内腔に進展した浸潤性胸腺腫の2例を経験した.胸腺腫の気管支内腔への進展は壊死組織を伴うことなどが特徴的であり,他疾患の鑑別上,生検が必須と考えられた.
索引用語:胸腺腫, 浸潤性胸腺腫, 気管支内腔, 肺アスペルギルス症

受付日:2014年4月5日
受理日:2014年6月10日

肺癌 54 (4):191─198,2014

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