第54巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
再検査で異なるFISH結果が得られたEML4-ALK融合遺伝子陽性肺癌の1例
勝島 詩恵1, 岡田 秀明1, 駄賀 晴子1, 井上 健2, 武田 晃司1大阪市立総合医療センター 1臨床腫瘍科, 2病理診断科
背景.EML4-ALK融合遺伝子は非小細胞肺癌の約5%に存在し,ALK阻害薬であるクリゾチニブに奏効し,個別化治療を進めるうえで正確,迅速なALK肺癌の診断が重要である.我々は,再検査で異なるFISH結果が得られたALK肺癌の症例を経験したので報告する.症例.症例は非喫煙者の70歳女性.気管支鏡生検の病理組織診断は腺管構造と粘液産生を認める中分化型腺癌で,臨床病期はcT2aN3M1b,stage IVであった.EGFR遺伝子変異は野生型であり,ALK検索を同検体で行ったところ,高感度IHC法では強陽性,FISH法では陰性陽性細胞(2/50個)であった.提出した標本の染色の状態を見直すとハイブリダイゼーション前の酵素処理が不十分であることが示唆されたため,酵素処理時間を延長して同検体で再検した結果,陽性(29/50個)と判定された.クリゾチニブの投与により腫瘍縮小効果を認めた.結論.再検査にて異なるFISH結果が得られたEML4-ALK融合遺伝子陽性肺癌の1例を経験した.
索引用語:IHC, FISH, EML4-ALK
受付日:2014年4月17日
受理日:2014年6月21日
肺癌 54 (4):206─211,2014