タイトル
第54巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

胸膜中皮腫を中心とした胸水ヒアルロン酸に関する症例調査

藤本 伸一1, 青江 啓介2, 大泉 聡史3, 上月 稔幸4, 亀井 敏昭5, 三浦 溥太郎6, 井内 康輝7, 岸本 卓巳8
1労働者健康福祉機構岡山労災病院腫瘍内科, 2国立病院機構山口宇部医療センター内科, 3北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学部門, 4国立病院機構四国がんセンター内科, 5山口県立総合医療センター病理科, 6横須賀市立うわまち病院内科, 7病理診断センター, 8労働者健康福祉機構岡山労災病院内科

目的.胸膜中皮腫の鑑別診断における胸水ヒアルロン酸の有用性を明らかにする.方法.診療録より胸水ヒアルロン酸濃度を抽出し比較検討を行った.結果.計860例分の胸水ヒアルロン酸濃度が抽出された.疾患の内訳は胸膜中皮腫139例,良性石綿胸水76例,肺癌324例,他臓器の悪性腫瘍74例,感染性胸膜炎120例,膠原病11例,その他116例であり,ヒアルロン酸濃度の中央値は胸膜中皮腫76,650 ng/ml,良性石綿胸水28,000 ng/ml,肺癌19,000 ng/ml,他臓器の悪性腫瘍12,200 ng/ml,感染性胸膜炎23,400 ng/ml,膠原病17,800 ng/ml,その他11,575 ng/mlであった.胸膜中皮腫における胸水ヒアルロン酸濃度はその他の疾患に比べ有意に高値であり,カットオフ値を100,000 ng/mlとしたところ,胸膜中皮腫の診断における感度は44.5%,特異度は98.2%であった.結論.胸水中のヒアルロン酸濃度は,胸膜中皮腫の鑑別診断の一助となり得る.
索引用語:アスベスト, ヒアルロン酸, 中皮腫, 胸水, 腫瘍マーカー

受付日:2014年7月31日
受理日:2014年9月5日

肺癌 54 (6):767─771,2014

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