タイトル
第54巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

蜂巣肺様陰影を呈した高分化型肺腺癌の1例

三田村 侑季1, 磯部 和順1, 伊藤 貴文1, 大塚 創2, 栃木 直文3, 本間 栄1
東邦大学医学部 1内科学講座呼吸器内科学分野(大森), 2外科学講座呼吸器外科学分野(大森), 3病院病理学講座(大森)

背景.蜂巣肺は主に進行期の特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)で認められる.症例.症例は63歳男性,胸部CTにて右下葉に蜂巣肺様陰影を認め当院受診となった.画像所見およびKL-6上昇より,IPFが疑われた.片側の蜂巣肺様陰影であったため,他疾患の鑑別を目的に気管支鏡検査を施行したが悪性ならびに炎症所見は得られなかった.その後,非典型的IPFとして経過観察していたが,6か月後の胸部CTにて蜂巣肺様陰影内の結節影が増大したため,IPF合併肺癌を疑い右肺下葉切除と縦隔肺門リンパ節郭清術を施行した.切除検体では,CT画像にて右下葉の結節に相当する部分に間質の線維化を伴う腺癌細胞の増生を認めた.一方蜂巣肺様陰影に相当する部分は,既存の気腫性病変に高分化腺癌が間質の線維化を伴いつつ,肺胞上皮置換性に増殖していた.肺胞の虚脱と筋組織増生を伴う通常型間質性肺炎の所見は認められなかった.結語.既存の気腫性病変に高分化腺癌を合併すると,CT画像にてIPF類似の蜂巣肺様陰影を呈する場合があり注意が必要である.
索引用語:原発性肺癌, 高分化型腺癌, 特発性肺線維症, 蜂巣肺

受付日:2014年5月23日
受理日:2014年7月18日

肺癌 54 (6):778─783,2014

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