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第54巻第6号目次 Japanese/English

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─ 第28回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

小型肺癌の術中局在同定法―術前マーキング法とvirtual-assisted lung mapping―

佐藤 雅昭1
1京都大学医学部附属病院呼吸器外科

Ground glass opacity(GGO)病変に代表される触知困難小型病変の術中同定は,呼吸器外科の大きな課題である.これまで様々な方法が報告されてきたが一長一短である.超音波やEndofingerは侵襲が皆無だが,GGO病変をどれほど正確に同定できるか疑問が残る.CTガイド下に経皮的に針を刺す術前マーキング法としてhook wire留置,色素注入,リピオドール®注入などが報告されている.比較的簡便な一方,穿刺可能部位が制限されること,気胸や器具脱落(hook wire),致命的となりうる空気塞栓の懸念がある.経気管支的なマーキング法として,色素,バリウム,リピオドールなどの注入が報告されている.比較的安全な方法と思われるが,CTガイド下に行うにはセッティングに手間がかかること,術者被曝が多くなることなどが欠点である.最近のバーチャル気管支鏡の進歩はこれらの欠点を補う可能性がある.われわれが最近報告したvirtual-assisted lung mapping(VAL-MAP)法はこの延長上にあるといえ,複数の標的部位にバーチャル気管支鏡ガイド下に透視下,気管支鏡下に色素を注入し,肺表面に「地理情報」を与える.病変同定というマーキングの概念を抜け出し,肺部分切除や複雑な区域切除で精密な切離ラインの設定を可能ならしめる,呼吸器外科領域の術中ナビゲーションとしての役割が期待される.
索引用語:Ground glass opacity(GGO), マーキング, Video-assisted thoracic surgery(VATS), 合併症, Virtual-assisted lung mapping(VAL-MAP)

肺癌 54 (6):835─842,2014

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