タイトル
第54巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (365K)
Article in Japanese

─ 総説 ─

SBRTの適応とされているmedically inoperable(MI)早期肺癌に対する手術成績―MIの定義は妥当か?―

高持 一矢1, 服部 有俊1, 前屋舗 龍男1, 松永 健志1, 王 志明1, 鈴木 健司1
1順天堂大学呼吸器外科

目的.早期肺癌に対する新たな治療として,体幹部定位放射線治療(SBRT)の有用性が多数報告されている.SBRTの臨床試験の多くはmedically inoperable(MI)な肺癌を対象にしているが,確立されたMIの定義はない.方法.対象は2004年1月~2012年10月に当科で手術を行った臨床病期IA期の肺癌740例.SBRTの臨床試験でMIの規準として頻用されている定義を改変し,FEV1.0 ≤0.8 l,%DLCO <40%,pO2 ≤70 mmHg,pCO2 >50 mmHg,もしくは重篤な併存疾患を3つ以上有する患者をMI肺癌とし,術式,周術期合併症,予後などについてOperable群と比較した.結果.(1)MIの規準を満たす患者は91例(12%).(2)MI肺癌は男性,高齢者,喫煙者に有意に多かった.(3)肺切除の術式には,両群間で有意差は認められなかった.(4)MI群の周術期合併症の頻度は38.5%,術後30日/90日死亡の割合は,1.1%/3.3%であった.(5)全生存割合はMI群で有意に低かったが,癌特異的生存割合には有意差は認められなかった.結論.MI肺癌は癌特異的生存割合がOperable群と同等で,周術期死亡の割合は臨床的に許容できる範囲であり,切除不能とは言えない.SBRTの臨床試験におけるMIの定義は,今後見直す必要がある.
索引用語:肺癌, 体幹部定位放射線治療(SBRT), 医学的切除不能(MI)

肺癌 54 (7):903─909,2014

ページの先頭へ