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第54巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

早期肺癌に対する体幹部定位放射線治療

塩山 善之1, 松延 亮1, 篠藤 誠1, 中村 和正2, 佐々木 智成2, 大賀 才路2, 吉武 忠正2, 浅井 佳央里2, 本田 浩2
1九州国際重粒子線がん治療センター, 2九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学

I期非小細胞肺癌に対する標準治療は手術(肺葉切除)であるが,高齢や合併症などの理由で手術困難な症例も多い.手術不能症例に対しては放射線治療が行われてきたが,従来の通常分割照射の治療成績は満足できるものではなかった.近年の外部照射技術の向上により周囲の正常組織の線量を低減し,腫瘍に高線量を集中的に照射可能な体幹部定位放射線治療の高い有効性と安全性が示され,医学的手術不能症例に対しては従来の通常分割照射法に代わり,標準治療となっている.手術可能症例に対しても定位放射線治療の高い有効性が示されているが,手術との比較試験で確認されたわけではなく,どちらが優れた治療法であるか,あるいは,同等な治療法であるかの結論は出ていない.一方,肺葉切除は困難だが縮小手術(肺区域切除や楔状切除)可能な手術高リスク症例や高齢者に対しては,より低侵襲な定位放射線治療は,手術と同等の治療成績が期待できるもう1つの選択可能な治療オプションとなり得ることが示されてきている.しかし,長期的に見た有効性や安全性については,まだ十分なエビデンスがなく,最適な線量や分割方法,補助化学療法,再発診断および再発後の治療法など,今後様々な課題が残されている.
索引用語:体幹部定位放射線治療, 早期肺癌, 非小細胞肺癌, I期, 低侵襲

肺癌 54 (7):910─916,2014

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