タイトル
第54巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (213K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌患者における呼吸困難発症の予測に関する検討

長谷川 貴昭1, 澤 祥幸2, 石黒 崇1, 吉田 勉1, 堀場 あかね1, 二村 洋平1, 丸井 努3
岐阜市民病院 1呼吸器内科・腫瘍内科, 2がんセンター, 3呼吸器外科

目的.終末期癌患者において呼吸困難は難治性でクオリティーオブライフを低下させ,そのケアには多職種の関与が必要である.呼吸困難発症の予測はケアプラン作成や療養環境の調整(転院の際や病院施設から在宅への移行の際などを含め)に有用と考えられる.安静時呼吸困難の発症予測因子につき肺癌患者において後ろ向きに検討をした.方法.2011年1月~2012年12月に当院で診断や治療が行われた肺癌症例において,安静時呼吸困難の発症に影響を与えると思われる因子について,積極的抗がん治療終了時点で評価して単変量ならびに多変量解析を行った.結果.96例について評価を行った.うち終末期に安静時呼吸困難を発症したのは55例(57%)であった.単変量解析では,胸水,心疾患の合併が関連する要因として同定された.多変量解析では,咳,胸水,心疾患の合併が独立した安静時呼吸困難の発症予測の関連する要因として同定された.結論.肺癌症例において,安静時呼吸困難の発症は頻度が高かった.咳,胸水,心疾患が予測因子として有用である可能性が示唆された.
索引用語:肺癌, 呼吸困難

受付日:2014年7月17日
受理日:2014年9月24日

肺癌 54 (7):926─929,2014

ページの先頭へ