タイトル
第54巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

限局型小細胞肺癌に対する化学療法同時併用加速過分割照射の後方視的検討―照射線量45 Gyと54 Gyとの比較―

松浦 寛司1, 勝田 剛1, 三浦 慎一郎2, 秦 雄介2, 稲田 順也2, 金原 正志2, 岩本 康男3, 影本 正之1
地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院 1放射線治療科, 2呼吸器内科, 3腫瘍内科

目的.限局型小細胞肺癌に対する化学療法同時併用加速過分割照射による高線量照射(54 Gy)の有用性を評価すること.方法.2006~2012年に治療された45 Gy群9例と54 Gy群10例の治療成績を後方視的に検討した.年齢は50~72歳(中央値65歳),病期はIIA:IIIA:IIIB=1:12:6.結果.生存期間中央値は,45 Gy群で23.6カ月,54 Gy群の全生存期間は中央値に達していない.45 Gy群,54 Gy群の2年全生存率,2年無増悪生存率,2年照射野内無増悪生存率,2年無遠隔転移生存率はそれぞれ,33.3% vs. 60.0%(p=0.3941),0% vs. 60.0%(p=0.0191),11.1% vs. 60.0%(p=0.1312),11.1% vs. 60.0%(p=0.0231)であった.グレード3以上の非血液毒性は両線量群ともに認められなかった.結論.54 Gyへの線量増加は有害事象リスクの増加なく,安全に施行可能であり,治療成績を向上させる可能性が示唆された.
索引用語:限局型小細胞肺癌, 加速過分割照射, 胸部放射線治療

受付日:2014年8月26日
受理日:2014年10月20日

肺癌 54 (7):930─936,2014

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