タイトル
第55巻第1号目次 In Japanese

─ 巻頭言 ─

「肺癌」の新たな展開

杉尾 賢二
学会誌「肺癌」編集委員長 大分大学医学部呼吸器・乳腺外科学講座教授

昨年の11月から,編集委員長に就任いたしました.そこで,学会誌「肺癌」の歴史と今後について,いくつか論じたいと思います. 最初に学会誌「肺癌」の発刊の歴史と変遷ですが,日本肺癌学会の前身である肺癌研究会の発足は昭和35年(1960年)であり,12月17日の第1回肺癌研究会総会時(会長:河合直次先生)に学会誌として第1巻総会号が発刊(創刊)されました.しばらくは総会号のみの発刊であり,第5巻の総会号の表紙に初めて「肺癌」との表記が載ったとのことです.1968年のみ発刊がなく,1969年(第9巻)に2年分の総会号が発刊されています.その第9巻時に投稿規定が作成され,この年から論文掲載がなされました.記念すべき最初の論文は,早田義博先生(第21回会長)が筆頭著者で「肺癌における穿刺生検法」がタイトルです.そして,今年は第55巻となりました.一時期,英文化の議論もなされましたが,今日まで邦文雑誌として継続しています.無論,英文で投稿することも可能です.そして,2013年第53巻から完全Web化となり,冊子体は総会号を除いて姿を消しました.Web化により,学会員であればだれでもいつでもどこでもアクセスでき,読むことができるようになりました.多くの学会員の方々が,ホームページから「肺癌」にアクセスすることを望んでいます.どの論文がよく読まれているかも,そのアクセス数で判明しますが,今のところ,その機能はついていません.今後,魅力ある学会誌として読んでもらうためには,原著論文や症例報告の質の向上に加え,質の高い総説や特集の掲載を予定してゆきたいと考えております.なお,二次出版,すなわち「肺癌」に掲載された邦文論文を欧文誌に投稿すること,欧文誌に掲載された論文を和文で「肺癌」に投稿することは,一定の条件で認められていますので,投稿規定を熟読して頂きたい. さて,本年2月の理事会で,優秀論文賞を創設することが承認されました.これは1年間に掲載された原著論文と症例報告から優秀論文を選定し表彰する新しい賞です.昨年第54巻が最初の選考対象となり,本年の学術集会時に表彰予定です.今後,多くの論文投稿をお願いいたします.また,この数年,学術集会での教育講演内容がEducational Bookとして学会場で配布されましたが,これを「肺癌」のSupplementとして抄録集と同時に発行することも決定しました.発表予定の先生方には多少ご苦労をおかけすることになりますが,これにより,教育講演の内容が正式な記録として保存されることとなり,引用も可能となります. 学会誌「肺癌」は,邦文雑誌として半世紀以上の歴史を持った専門分野の学術誌であります.今後,より質の高い内容で多くの読者を得られるように編集委員の先生方共々努力してゆきたいと思います.

肺癌 55 (1):1─1,2015

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