タイトル
第55巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

根治切除後早期に急速増大出現した胸腔内再発胸腺腫の1例

亀山 亨1, 岩澤 卓1, 西岡 清訓2, 足立 史郎3, 兒玉 憲4, 堂野 恵三1
1市立豊中病院外科, 2公立学校共済組合近畿中央病院外科, 3市立豊中病院病理診断科, 4八尾市立病院外科

背景.胸腺腫は緩徐に発育する腫瘍であり,術後再発の多くは初回手術後数年から十数年経過してから診断される.今回我々は術後4カ月で急速に増大出現した再発症例を経験したので報告する.症例.70歳代女性.2011年に胸腺腫に対し左開胸で腫瘍および心膜,肺合併切除を施行した.病理診断はWHO分類Type B3,正岡分類III期であった.補助治療を行わずに経過観察中,術後4カ月の胸部X線で左中肺野に径6 cm大の腫瘤影を認めた.術後6カ月においても縮小を認めず,CTで左背側に胸腔内腫瘍を疑い経皮針細胞診,PET検査を行った結果,胸腺腫の再発と診断し,術後8カ月目に再手術を行った.腫瘍は胸壁および肺に強固に癒着していたためそれぞれ合併切除した.他に胸腔内に播種性病変は認めなかった.術後病理組織診断は,初回切除腫瘍と類似したType B3胸腺腫で,明らかな胸壁や肺への浸潤は認めなかったが,肺内に転移病変を認めた.術後補助治療は行わず経過観察中であるが,再手術2年後において再発は認めていない.結論.術後早期に急速増大した,まれな胸腺腫再発例を経験した.再発,増殖機序など胸腺腫の生物学的特性を考察するために貴重な症例と考えられた.
索引用語:胸腺腫, 早期再発, 急速増大, 正岡分類III期, WHO分類Type B3

受付日:2014年9月28日
受理日:2015年1月26日

肺癌 55 (1):42─47,2015

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