タイトル
第55巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

クリゾチニブによるアレルギー性肝機能障害に対してステロイド治療が行われた1例

大沼 仁1, 加藤 仁一1, 小山 和行2, 河原 律子3, 関 邦彦4, 井上 ゆづる1
公益財団法人結核予防会新山手病院 1呼吸器科, 2放射線治療科, 3検査科, 4JR東京総合病院臨床検査科

背景.ALK陽性肺癌に対する分子標的薬であるクリゾチニブの副作用に肝機能障害がある.しかし対処方法は確立していない.症例.68歳女性,ALK陽性肺腺癌cT4N3M1b(BRA).脳転移治療後にクリゾチニブによる治療が開始された.投与13日目から薬疹,肝酵素の上昇(AST 44 IU/l,ALT 43 IU/l)および好酸球率の増多(7.0%)を認めた.21日目にAST 134 IU/l,ALT 207 IU/lと増悪したため投与を中止した.中止4日目に発熱の出現,薬疹の増悪およびAST 1823 IU/l,ALT 2756 IU/lと肝機能障害の悪化を認め,アレルギー性機序の薬物性肝障害が疑われた.メチルプレドニゾロン250 mg/日を3日間施行して症状,肝機能障害は急速に改善した.結論.クリゾチニブによるアレルギー性肝機能障害に対してステロイドが有効であることが示唆された.クリゾチニブはALK陽性肺癌のkey drugであることから,今後肝機能障害の対処方法の確立が必要である.
索引用語:クリゾチニブ, アレルギー性肝機能障害, ステロイド

受付日:2014年10月20日
受理日:2015年2月5日

肺癌 55 (1):48─52,2015

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