タイトル
第55巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

リンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌の1例

門松 由佳1, 中島 潔1, 上野 陽史1, 岡阪 敏樹1, 森 正一1
1名古屋第一赤十字病院呼吸器外科

背景.リンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌の1例を経験した.症例.45歳女性.胸部CTで指摘された前縦隔結節は4年間で直径14 mmから18 mmへ増大を認めた.PETで有意な集積を認めず,胸腺腫を疑い,胸腔鏡下胸腺部分切除術を施行した.腫瘍は黄白色で充実性の胞巣を形成し,周囲には胚中心をもつリンパ濾胞を認めた.H-E染色からは結節性胸腺腫(micronodular thymoma with lymphoid stroma:MNT)を鑑別に挙げたが,腫瘍細胞の核/細胞質比が高く,核の大小不同,核分裂像などを認めた.CD5,bcl-2,c-kitおよびCK5/6,p40はいずれも陽性であった.リンパ濾胞の多くはCD20陽性B細胞から構成され,胚中心はbcl-2陰性であり,反応性リンパ濾胞と考えた.腫瘍内のリンパ球はTdT陰性であった.以上よりリンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌と診断した.結論.リンパ性間質を伴う胸腺癌は本邦での報告例がなく,縦隔腫瘍取扱い規約でも収載されていないため,本疾患の概念を広く認識し,MNTと区別する必要があると考えられた.
索引用語:胸腺癌, 小結節性胸腺腫, 小結節性胸腺癌, 前縦隔腫瘤

受付日:2014年10月23日
受理日:2015年2月8日

肺癌 55 (1):59─64,2015

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