タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌胃転移の2切除例

松本 大資1, 石倉 久嗣1, 木村 秀1, 枝川 広志1, 谷 亮太朗1, 森 理1
1徳島赤十字病院外科

背景.肺癌の胃転移は頻度が低くその予後は不良であるとされる.また,全身状態や病勢などから手術適応となる症例は非常に稀である.今回われわれは,肺癌の胃転移に対し胃切除術を施行した2症例を経験したため報告する.症例.症例1は60歳代女性.2012年1月に左肺腺癌に対し左肺上葉切除術を施行した.術後経過観察のCTで胃体中部の隆起性病変を認め,消化管内視鏡検査で粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.原発性胃癌の術前診断で胃全摘術を施行し,病理検査で肺癌の胃転移と診断された.術後3ヶ月で多発肝転移が出現し,Gefitinibでの化学療法を行ったが効果はなく術後6ヶ月で死亡した.症例2は70歳代男性.2011年11月に左肺扁平上皮癌に対し左肺下葉+舌区切除を行った.2013年12月に出血性ショックにより救急搬送され,胃癌からの出血と診断された.出血コントロール目的に残胃全摘術を行い,病理検査で肺癌の胃転移と診断された.胃切除術後6ヶ月で死亡した.結論.肺癌患者で心窩部痛や黒色便などの消化器症状が出現した際は,積極的に内視鏡検査を行い,その特徴的な所見から肺癌の転移を鑑別に挙げることが重要である.
索引用語:肺癌, 転移性胃腫瘍, 胃切除

受付日:2014年12月1日
受理日:2015年3月4日

肺癌 55 (2):83─88,2015

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