タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

CA19-9が異常高値を示した肺癌の2例

西川 敏雄1, 高橋 正彦1, 森 雅信1, 上川 康明1, 井上 文之1
1井上病院

背景.CA19-9が異常高値を示す肺癌は稀である.症例1.67歳,女性.咳嗽,背部痛を主訴に近医を受診,CT検査にて右肺下葉に腫瘤を指摘された.腫瘍マーカーはCEAが29.51 ng/ml,CA19-9が6340 U/mlであった.細胞診にて腺癌細胞を認め肺癌と診断,化学療法の後手術を施行した.術後病理検査では粘液産生性細気管支肺胞上皮癌との診断であり,T3N2M0 stage IIIAであった.術後化学療法を施行,CA19-9は129 U/mlまで低下したが,術後4ヵ月目の再発時には再び上昇した.症例2.78歳,女性.検診にて胸部異常陰影を指摘された.腫瘍マーカーはCEAが75.58 ng/ml,CA19-9が1622 U/mlであった.CT検査では左肺S5に結節を認め手術を施行した.術後病理検査では混合型腺癌との診断であり,T3N2M0 stage IIIAであった.術後CA19-9は889 U/mlまで低下した.結論.CA19-9が異常高値を示す肺癌においてはこの数値が病状を非常によく反映し,再発や治療効果判定の有用な指標となりうる可能性が示唆された.
索引用語:肺癌, CA19-9

受付日:2014年12月30日
受理日:2015年3月9日

肺癌 55 (2):93─97,2015

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