タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

上縦隔に発生した甲状腺乳頭状腺癌の1例

直海 晃1, 親松 裕典2, 成田 久仁夫2, 中山 雅人3, 前田 松喜4
1愛知県がんセンター中央病院呼吸器外科, 豊橋市民病院 2呼吸器外科, 3心臓血管・血管外科, 4病理診断科

背景.転移巣が先にみつかる甲状腺癌の報告はあるが,縦隔内孤立転移は稀である.症例.51歳男性.肺癌検診のCTで上縦隔に孤立性異常陰影を指摘されたが放置していた.初回の指摘より4年後のFDG-PET検査で集積増加と腫瘍径増大を確認し,胸骨上縁横切開による腫瘍摘出術を施行した.病理診断では甲状腺乳頭癌と診断されたが,術前後のCT,MRI画像や超音波検査では甲状腺に原発病変を示唆する所見はなく,甲状腺から腫瘍への連続性も確認できなかったことから,縦隔内に転移を有する不顕性甲状腺癌と考えた.結論.不顕性甲状腺癌の孤立性縦隔転移を疑ったが,異所性甲状腺癌との鑑別が問題となり診断に至るのは困難であった.不顕性甲状腺癌に対し今後の注意深い観察が必要である.
索引用語:不顕性甲状腺癌, 異所性甲状腺癌, 縦隔内孤立転移, 上縦隔甲状腺乳頭癌

受付日:2014年9月18日
受理日:2015年3月13日

肺癌 55 (2):98─101,2015

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