タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術後再発にパゾパニブが有効であった胸壁原発線維肉腫の1例

角 俊行1,2, 鈴木 洋祐1,2, 加藤 宏治2,3, 近藤 瞬2,3, 田中 康正1, 藤田 美悧4
1製鉄記念室蘭病院呼吸器内科, 2札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座, 3市立釧路総合病院呼吸器内科, 4製鉄記念室蘭病院病理診断科

背景.悪性軟部腫瘍の遠隔転移や術後再発に対しての標準治療は全身化学療法であるが,抗癌剤への感受性は低い.悪性軟部腫瘍に対する本邦で初めて承認された経口マルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブを用いて,長期間の治療効果が得られた症例を経験した.症例.77歳の男性.右胸壁原発線維肉腫の術後再発に対してドキソルビシンによる全身化学療法を行ったが,Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)version 4.0でGrade 4の好中球減少をきたし,腫瘍は増大したため治療を中止した.その後二次治療としてパゾパニブで治療を行ったところ,治療を中断するような重大な副作用はなく病変は縮小した.パゾパニブ開始後7ヶ月に腫瘍が増大するまで減量することなく投与を継続できた.結論.細胞傷害性抗癌剤による全身化学療法の継続が困難な場合,パゾパニブは有用な治療選択肢の可能性がある.
索引用語:パゾパニブ, 線維肉腫, 胸壁

受付日:2014年12月26日
受理日:2015年3月13日

肺癌 55 (2):102─107,2015

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