タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1176K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

気胸を契機に診断に至った肺原発骨肉腫の1例

佐々木 啓介1, 中野 喜久雄1, 原田 洋明2, 山下 芳典2, 谷山 清己3
独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3病理診断部

背景.骨肉腫は,間葉系組織が骨や類骨を産生する腫瘍であり,大部分は四肢,体幹部の骨に発生する.肺に見られる骨肉腫の多くは転移性であるが,肺に原発することが稀にある.今回我々は肺に原発した骨肉腫を経験したので報告する.症例.59歳女性.2014年4月,当院受診3日前から呼吸困難を自覚.症状が改善しないため当院を受診.胸部X線写真で右気胸を認めたため持続ドレナージを施行した.胸部CTでは右S1に27 mm大の胸腔に交通のある,軽度壁肥厚を伴った空洞性病変を認めた.エアーリークが持続するため当院呼吸器外科に紹介.胸腔鏡下による切除を施行し,組織学的ならびに免疫学的に骨肉腫と診断された.PET/CT検査ならびに骨シンチグラフィーで集積を認めず,肺原発肉腫と診断した.結論.気胸を契機に診断に至った肺原発骨肉腫を経験した.肺原発骨肉腫は稀であり,かつ気胸を契機に診断に至ったことも稀である.本疾患で,検索しうる限り気胸を契機に診断に至った報告例は認めなかった.
索引用語:肺原発骨肉腫, 気胸, 血管内膜肉腫

受付日:2014年12月4日
受理日:2015年3月17日

肺癌 55 (2):108─112,2015

ページの先頭へ