タイトル
第55巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

多発小腸転移により発見された肺大細胞神経内分泌癌の1例

片山 公実子1, 熊本 牧子1, 大屋 貴広1, 森田 剛平2, 大林 千穂2, 木村 弘1
奈良県立医科大学 1内科学第二講座, 2病理診断学講座

背景.肺癌の小腸転移例は,発見されにくく,発見時に全身状態が不良のため化学療法が施行可能な症例は多くない.症例.66歳男性.上腹部痛,黒色便,貧血で近医を受診しCTにて左下葉に径6 cm大の腫瘍,小腸に多発ポリープと腸重積,腸閉塞を認めた.ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行したところ,径5 mm~3 cmの亜有茎性隆起が多発していた.内視鏡下の生検組織とその後施行された小腸部分切除組織の病理所見は,肺腫瘍に対する経気管支肺生検と同様の組織像・免疫表現型を呈しており,肺大細胞神経内分泌癌,多発小腸転移と診断した.Carboplatin+etoposide併用療法を2コース施行後,原発巣と残存する多発小腸転移は著明に縮小し,一時帰宅可能な状態まで改善した.しかし3コース目終了後に,肺腫瘍の直接浸潤による左主気管支と食道狭窄の増悪を認めたためcarboplatin+paclitaxel併用療法へ変更したが肺病変の改善は認めず,入院第178病日に死亡された.結語.多発小腸転移を伴う症例に対して化学療法が一時的ではあるものの,QOLの改善に寄与した症例を経験した.
索引用語:肺大細胞神経内分泌癌, 多発小腸転移, 化学療法

受付日:2015年2月5日
受理日:2015年3月20日

肺癌 55 (2):113─118,2015

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