タイトル
第55巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術前気管支鏡下肺マッピング法(VAL-MAP;virtual-assisted lung mapping)を用い,微小なground-glass nodule(GGN)に対して完全鏡視下切除を行った1例

山梨 恵次1, 徳野 純子1, 住友 亮太1, 庄司 剛1, 佐藤 雅昭2, 黄 政龍1
1公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器外科, 2京都大学医学部呼吸器外科

背景.従来の術前肺マーキング法と異なり,複数個所にマーキングを施し,肺に「地図」を描くバーチャル気管支鏡ナビゲーションを利用した術前気管支鏡下肺マッピング法(VAL-MAP)には,より確実・安全な手術支援が期待される.VAL-MAPを用い,微小なGGNに対して完全鏡視下切除を行った症例を報告する.症例.63歳男性.前立腺癌の術前精査のために撮影された胸部CTで,右肺上葉の胸膜直下にGGNを2ヵ所指摘され,当科紹介となった.9ヵ月後の胸部CTでGGNの増大を認め,手術による切除の方針とした.末期腎不全患者であり,VAL-MAPを用いた肺部分切除の適応とした.手術は3ポートによる完全鏡視下手術で行った.右肺上葉に4ヵ所のマーキングを確認し,それらをメルクマールとし,2つの病巣をそれぞれ部分切除した.それぞれの切除標本内に病変を確認し,手術終了とした.術後経過は良好であった.永久病理診断はともにadenocarcinoma in situであった.術後1年現在,再発なく経過観察中である.結論.従来の術前肺マーキング法と比較してVAL-MAPは,確実性と安全性を兼ね備えた有用なマーキング法であると考えられる.
索引用語:Virtual-assisted lung mapping(VAL-MAP), Ground-glass nodule(GGN), 肺部分切除, Adenocarcinoma in situ

受付日:2015年2月5日
受理日:2015年6月1日

肺癌 55 (4):206─211,2015

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