第55巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 第29回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─
LYGとは似ているが異なる臨床経過を来したリンパ球増殖症の症例
矢澤 卓也1,2, 柳 富子3, 砂金 秀章4, 徳田 均4, 飯原 久仁子21千葉大学大学院医学研究院診断病理学, 東京山手メディカルセンター 2病理診断科, 3血液内科, 4呼吸器内科
背景.肺リンパ腫様肉芽腫症は悪性リンパ腫と鑑別困難なことがあり,その病態も複雑である.症例.66歳,女性.11年前に健診で左中肺野の結節影を指摘され,ALアミロイドーシス(肺限局型)と診断された.6年前には右中肺野に新出の結節影が出現し緩徐に増大していたものの,症状ないため経過観察されていたが,乾性咳嗽が出現するようになり多発結節影の新出も確認されたため,確定診断目的に20 mm大の結節性病変が切除された.病理組織学的には壊死,血管破壊像を伴うリンパ増殖性病変であり,高度に浸潤するCD4+主体の小型Tリンパ球および少数介在する大型異型Bリンパ球が見られ,EBV-encoded small RNA(EBER)は大型異型Bリンパ球のみならずCD4+ Tリンパ球にも陽性であった.またクロナリティー解析により,T細胞受容体β鎖に微弱なクローナルシグナルが検出された.悪性リンパ腫として化学療法が施行されたが,腫瘍の増大および繰り返す閉塞性肺炎により,治療開始から23ヶ月後に呼吸不全により死亡となった.結論.本例では背景に何らかの免疫異常の存在が示唆され,EBV感染Bリンパ球およびCD4+ Tリンパ球が肺内で異常増殖し多発結節性病変を形成したものと考えられ,T細胞リンパ腫への移行が示唆された点が特異であった.今後同様の症例が集積され,効果的な治療法が確立されていくことが望まれる.
索引用語:リンパ腫様肉芽腫症, リンパ増殖性疾患, T細胞性リンパ腫, Epstein-Barr virus, アミロイドーシス
肺癌 55 (4):233─240,2015