タイトル
第55巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1155K)
Article in Japanese

─ 第29回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

37歳男性,治療抵抗性の小細胞癌の1例

松田 俊明1, 木村 智樹1, 谷口 博之1, 近藤 康博1, 川口 晃司2, 横井 香平2
1公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科, 2名古屋大学大学院呼吸器外科学

背景.混合型小細胞肺癌は,生検時に小細胞肺癌と診断され外科切除検体や剖検時に非小細胞肺癌の成分の混合が判明することがある.症例.37歳男性.検診時の胸部X線写真で右上肺野に腫瘤を指摘.胸部CTで右肺S2に41 mm大の腫瘤がみられ,CTガイド下生検にて小細胞肺癌と診断.当初,進展型小細胞肺癌(cT4N3M0,IIIB)として化学療法を施行したが原発巣は増大.CTガイド下生検の再検を行い免疫染色検査の結果は初回生検時と同じであったが,未分化癌も否定できないと判断された.右肺S6副腫瘍結節は消退傾向,対側肺門部リンパ節は縮小していることから,非小細胞肺癌(cT3N2M0,IIIA)として放射線化学療法を導入.原発巣の縮小を認め,サルベージ手術により右肺上葉切除術および胸壁合併切除を施行.切除肺の病理所見は低分化腺癌であった.術後3ヶ月で転移性脳腫瘍・切除部位の再発を認め全脳照射および化学療法を施行したが,治療抵抗性であり術後6ヶ月(診断時より13ヶ月後)で永眠.結論.治療抵抗性の小細胞肺癌は非小細胞肺癌の成分を有する可能性がある.サルベージ手術の意義については今後も症例集積が必要と考えられるが,治療抵抗性の小細胞癌に対する選択肢の一つと考えられる.
索引用語:サルベージ手術, 化学放射線療法, 混合型小細胞肺癌, 低分化腺癌

肺癌 55 (4):241─246,2015

ページの先頭へ