タイトル
第55巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (668K)
Article in Japanese

─ 第29回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

術後6年で胸膜・腹膜播種を来した胸腺非定型カルチノイドの1例

田中 広祐1, 樋田 豊明1, 坂尾 幸則2, 谷田部 恭3
愛知県がんセンター中央病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3遺伝子病理診断部

症例は77歳女性.咳嗽を契機に胸部X線で異常陰影を指摘され,胸部CTで縦隔に造影効果に富む最大径7 cmの腫瘤を認めた.経皮的生検で胸腺非定型カルチノイドと診断後,2007年7月に拡大胸腺腫瘍切除術を施行した.病理結果は,HE染色で類円形核を有する腫瘍細胞が血管性間質を伴って充実胞巣状,索状に密に増生する,神経内分泌形態を示していた.核分裂像は10高倍視野で4個認められた.免疫染色ではchromogranin A,synaptophysin陽性であった.術後追加治療は行わず経過観察していたが,2013年7月の胸腹部CTで胸膜・腹膜播種による再発を認めた.再発時点で83歳と高齢であり化学療法などは施行せずBSCの方針となった.胸腺非定型カルチノイドは術後長期間経てから再発することも稀ではなく,継続的な経過観察が肝要と思われる.
索引用語:縦隔腫瘍, 胸腺非定型カルチノイド, 術後再発

肺癌 55 (4):247─250,2015

ページの先頭へ