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第55巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第29回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

左肺全摘後,肺動脈内に再発をきたしたintimal sarcomaの1例

小林 祥久1, 光冨 徹哉1, 坂尾 幸則2, 谷田部 恭3
1近畿大学医学部外科学講座呼吸器外科部門, 愛知県がんセンター中央病院 2呼吸器外科部, 3遺伝子病理診断部

背景.肺intimal sarcomaは肺動脈血管内皮由来の稀な肉腫である.当初非小細胞肺癌と診断された肺腫瘤に対する手術中に,左主肺動脈内のintimal sarcomaの存在が判明し治療に苦慮した症例を報告する.症例.54歳女性.左背部痛を主訴に受診した.CTで左肺下葉に5 cmの腫瘤影があり,CTガイド下肺生検で非小細胞肺癌と診断されて紹介された.造影CTで肺動脈に淡い造影欠損域がみられたが,再現性がなく画質の問題と判断した.前医で採取された検体を免疫組織染色も含め再検すると肉腫であった.左肺下葉切除の方針としたが,術中に左主肺動脈内の腫瘍を触知し,これはCTでの造影欠損域と一致していた.それゆえ,肺動脈内の腫瘍はintimal sarcomaであり,下葉の腫瘤はその転移であることが判明した.左肺全摘術を施行した.術後1ヵ月で肺動脈内に再発したため人工心肺下に再手術を行ったが4ヵ月で再発し,その後3ヵ月半で死亡した.結論.単発の肺腫瘤がある症例でも,肺動脈の造影欠損像があればintimal sarcomaを疑うことが重要である.
索引用語:肺動脈肉腫, Intimal sarcoma, 肺全摘術

肺癌 55 (4):251─256,2015

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